第2回海外学習の個人別レポート 1年 T.H さん
参加者から提出された報告レポートです。個人名や写真の表現・配置等にオリジナルとは異なる点はご容赦ください。皆さんのレポートは下の略名をクリックして頂くとご覧いただけます。
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2年 I.Yさん N.Mさん I.Kさん Y.Tさん S.Kさん K.Sさん
ルーヴル美術館・オルセー美術館・大英博物館見学の旅を終えて
■ 1.参加の目的
私が今回この研修への参加を希望した目的は現地の人の生きた英語に触れて自分の英語力・コミュニケーション能力を試すことと歴史ある建物・美術品を直接見ること、それにより自分の視野を広げることでした。
結果、完璧とはいえませんが目的を多く達成することができました。
■ 2.目的達成のために
私は一つ目の目標の英語力・コミュニケーション能力を試すために機会を見つけては様々な人との会話を試みました。たとえばナイトクルーズで席が前後になった同じくらいの年に見える男の子やレジ待ちの列で一緒に並んだ年配の女性などです。目があって笑顔を見せると向こうもほほえみ返す、そこから会話が始まる、といったように同じ国の人同士ではないほうが簡単に知らない人と関わりを持てて少し不思議に感じました。また、話しかけた人はたまたま全員がほかの国からの旅行者でお互い英語がつたなく身振り手振りを交えながら一生懸命自分の意志を伝えるという体験はとてもおもしろかったです。聞き取れた単語からなんとか文脈と照らしあわせて自分の知識を総動員して相手に返事をする、こんなに頭を使って会話をしたのは初めてで、いいたいことが伝わるとこんなにうれしいのだと知りました。日本語にしたらなんてことのない会話だったけど必死に考えたおかげか会話の内容は今でも全部はっきりと覚えています。
ただ、本来想定していた現地の店員さんなどとの会話は想像の半分もうまくいきませんでした。第一に、話すスピードがとても速いうえに対応がとてもそっけないということで軽いパニックとなってしまいました。聞き取れない時に使う簡単な「Pardon?」という言葉も思い浮かばず店員さんに迷惑そうな顔をされることもしばしばありました。そして日本の店員さんは基本的にとても親切で対応も丁寧であるということを思い知りました。店員はお客さんに尽くすもの、お客様は神様だ!という日本ではよく聞くフレーズも一歩日本の外に出たら全く通用しない考えなのだと思い知りました。
普段紙の上に書かれている英語やリスニング用CDで聞いている英語と実際使われている英語は全く違うものだと感じました。
次に二つ目の目的である美術品や建物についてです。
まず、美術館に対する距離感の違いに驚きました。私のこれまでの美術館のイメージは高い入場料を払い、長い列に並び、ロープで仕切られたところからガラスケース越しに有名な絵画を見るというものでした。しかし今回の体験でそのイメージがことごとく崩されたのです。絵と自分の間に隔てるものが何もない状態でゆったりと自分のペースで鑑賞できること、遠足と思われる小学生の集団が絵の前に集まって座り先生の話を聞きながら絵を見ていることなど芸術に触れるというのはこういうことなのだと感じ、こんなに幼いころから本物に囲まれて成長できるとは何て贅沢で恵まれているのだろうと羨ましく思いました。私は絵の素晴らしさは言うまでもなく、教科書やポスターで何度も見たことのある有名な絵がラフに間近で堪能できるこの環境に衝撃を受け、それ以上に感動しました。
また、どちらの国も美術館などはもちろん、アパートなどのごく普通の建物でさえとても凝った作りになっていることに感動しました。当たり前のように壁やドアに彫刻が施され色あわせも明るくかわいらしいものばかりでついつい写真を撮りすぎてしまいました。特に聖堂は外装も内装も神々しく精巧に作られた彫刻や絵画で覆われており、一瞬自分がキリスト教徒になってもいいかもしれないと思うほどの素晴らしさでした。だからなぜ外国人が日本のお寺や神社に惹かれるのかわかりませんでした。しかしいくつも聖堂や美術館を巡っていくと少し目が疲れてきて、シンプルな日本の建物に魅力を感じる気持ちもわかるような気もしました。
■ 3.学んだこと
特に今あげた経験を通して私は自分の長所の再確認と、今まで知らなかった自分に足りないところを知ることができました。
自分の長所は人とかかわることに物怖じしないところ、簡単に言ってしまえば人見知りをしないところだと自負しており今回もそれを生かしてたくさんの人と新しく繋がることができました。それに対して自覚していなかった短所というのは、予想外の出来事に対する対応が苦手だという点です。普段の日本での生活では自分の予想外の出来事というものはなかなか起こりません。しかし外国では日本とは様々なことの勝手が違います。レジで急に質問されただけでもびくりとし、とぎれとぎれの単語を発するのが精いっぱいでまともな文章を話すことができませんでした。
日本でのテンプレートなレジでのやり取りや気心知れた友達と会話するのとは全く異質のものであり、自分がこれまで滞りなく会話し、生活できていたのはこれまでの自分の経験からくる予測のおかげだったということを思い知らされました。勝手のわからない外国でも落ち着いていろいろなことに対応するには冷静になることが必要です。そのためには普段からの心構えも必要ですが一番大切なのは知識だと思います。知識があればまず予想外の出来事自体が減るし、何かが起きても持てる知識が多ければ多いほど対応できる事柄も増えるはずです。また事前知識が多いほうが何かを見たときにいろいろなことと結び付けて考えたりできるので感動や関心も増幅すると思います。なのでこれからは何事にも事前に準備をしっかりしたうえで取り組もうと思います。
また、私は今回、違う文化を自らのものと比べるのではなく認めるということが自然とできるようになりました。
この体験をするまでは、フランス料理に比べてイギリス料理はおいしくなさそうだとか、日本の街並みに比べてヨーロッパの街並みはなんておしゃれなのだろうなどと無意識に物事を比較して見ていました。他にもインターネットやテレビ、本や授業で得た知識による先入観を強く持っていました。たとえばフランスはなんだか気取っている、イギリスのご飯はまずいなどです。しかしそんな先入観は実体験によって打ち砕かれ、全くあてにならないことに気が付きました。フランスの人は気取るどころかみんな気さくにあいさつをするしイギリスのアフタヌーンティーは本当に幸せな至福のひとときでした。どちらの国も比べられないそれぞれ別々の素晴らしいところだったし、同じことが日本にも言えます。たとえば、現代の日本人は冷たいとよく言われるし、実際私もそう思っていました。だけど本当に冷たいのならカバンを店に忘れても無事に戻ってきたりはしないし、店員さんが丁寧に商品の場所を案内してくれることもないはずです。カバンは持ち主に返すべきだし店員は客に親切であるべきだという当たり前の常識は本当は当たり前ではなく日本人が作り上げてきた文化の立派な一部だと思うようになりました。
■ 4.まとめ
どの国にも今までの先入観を覆すいいところや悪いところがたくさんあり、今回私が感じた印象もまた、その国の一部でしかないのだと思います。けれど全部を知れなくても、自分の知っている知識がすべてではないということを実感できたことは本当にいい経験になりました。
この年で外国に行き、たくさんの人や違う文化、素晴らしい芸術作品と出会う貴重な機会をあたえていただいたことをとても幸運だと思い、財団の方には言い表せられないほど感謝しています。また、この研修のために時間を割いて勉強会を開いてくださった先生方、おかげさまで初めていく土地でしたがなんとかコミュニケーションをとることができました。
私たちは今回運よく参加することができましたが落選してしまった人もたくさんいたと思います。そのような人はもちろん興味のなかった人もとてもいい経験ができるので次の機会にはぜひ参加してほしいと思います。
このような素晴らしい体験をできたことへの感謝を忘れず、今回学んだことを生かしてこれからより良い人間になれるよう一層励んでいきたいです。本当に行ってよかったです、 ありがとうございました!