第4回海外学習助成事業の報告集 1年 OGR さん
参加者から提出された報告レポートです。個人名や写真の表現・配置等にオリジナルとは異なる点はご容赦ください。皆さんのレポートは下の略名をクリックして頂くとご覧いただけます。
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イタリア3都市(Milano, Firenze, Roma)を巡る6泊8日の旅
〈1日目〉
日本を出発。日本を離れるのは寂しかったけれどイタリアへ行くことの楽しみのほうが大きかったです。どんなところなのかなとすごいわくわくしていました。飛行機が離陸するとき、イタリアに行くんだなとやっと実感がわいた瞬間でした。イタリアに到着。日本とは違う街の雰囲気に圧倒されました。あとご飯の量がとても多くてびっくりでした。飛行機の疲れもあってこの日は早く寝ました。
〈2日目〉
イタリア初日はミラノへ行きました。私は事前学習でミラノについて調べました。事前に勉強しただけで物の見方が全然違いました。イタリアの街を代表する教会堂であるドゥオモに行きました。ドゥオモを見て一番に思ったことは大きい!ということでした。
写真と本物の迫力は全く違いました。写真で見ただけでは白い建物に見えるこのドゥオモも実際近くで見てみると表面は聖人の彫刻だらけでした。ドゥオモの中はひんやりとしていました。床は白、黒、赤の大理石が使われています。その色によってすりへりかたが違い、白色が一番すりへっていて少しぼこぼこしていました。1万人がはいる量感で、ステンドグラスがたくさんありました。ステンドグラスは字が読めない人に向けて聖書の一部を表しており、下から上や左から右に物語が流れていました。一番大きいものでガラス1枚1メートル以上のものもありました。柱を新しいものに変えたときに地盤沈下が起こりドゥオモのてっぺんにある金色のマリアが傾いてしまったそうです。セキュリティーチェックが厳しいので銃を持った陸軍の人が何人かいました。ここからも異国の文化を感じました。
もし次行く機会があれば屋上へ登って近くで尖塔を見たいです。
ビットリオエマヌエレ2世のガッレリアでは天井のガラス張りがとても美しかったです。ここはイタリア統一を記念してつくられたそうです。通りには高級そうなお店がたくさん並んでいました。
ミラノでの研修の後、バスでフィレンツェに向かいミケランジェロ広場に行きました。ここではフィレンツェの街並みが一望できます。アルノ川とともに見えるフィレンツェの街はとても美しかったです。
〈3日目〉
フィレンツェの研修です。初めにウフィツィ美術館に行きました。ウフィツィ美術館はルネサンス絵画を収蔵する美術館でメディチ家のコレクションが並んでいます。メディチ家の紋章も多くありました。メディチ家の紋章がたくさんあるほど、そこに多額のお金を出したということだそうです。有名な作品だと「ヴィーナスの誕生」「春」「受胎告知」「メドゥーサの首」「ウルビーノのヴィーナス」「聖家族」「ヒワの聖母」「キリストの洗礼」などがあります。写真では見られないような細かい部分を間近で見ることができる幸せを感じました。
ボッティチェリ作の「ヴィーナスの誕生」について、中央の愛のシンボル、ヴィーナスは人間の生まれたままを描いています。解剖学がわかっていないためからだが不自然なところがあります。しかし全体としてはそれを感じさせないほどの美しい絵です。「ウルビーノのヴィーナス」について、この絵はどこから見てもふっくらとした女性が私たちのほうをみているように見えます。なんでそうなるのか不思議でなりません。ボッティチェリ作の「春」について、一番左の男と3人の女の一番右の女は同じポーズをしているということをなど色々現地のガイドさんに教えてもらうことができ新しい発見がいっぱいでした。さらに地面には45種類の花が500本咲いています。この花の細かい作りや、女のベールの躍動感を感じられるのは一生に一度の体験だなと思って見ていました。
レオナルド・ダ・ヴィンチ作の「受胎告知」について、これは天使の子ガブリエルがマリアに神の子を宿ったと告知するシーンです。マリアの右手の長さはこの絵を右から見ることを計算して描かれています。オリジナルにしか見られない川の流れや木のぼかしを見ることができました。
ウフィツィ美術館は天井画もびっしり描かれていて、廊下にはたくさんの彫刻があって、見るものが多すぎるくらいでした。ウフィツィ美術館にあるどの作品を見ても貴重な素晴らしい作品ばかりで宝石箱の中にいるようでした。
フィレンツェでもドゥオモを見ました。やっぱりドゥオモというのは大きかったです。ミラノのドゥオモは建物が白っぽかったのに対し、フィレンツェのドゥオモは緑やピンクが使われていてカラフルでした。
この日はイタリア来て初めての自由食で物を自分で注文するということに挑戦しました。何を言っているかわからなかったし何を言えばいいかわからなかったけれど身振り手振りでなんとか注文することができました。頼むのは時間がかかったけれど注文できたときの達成感は大きかったです。
シニョーリア広場を通ってアカデミア美術館に行きました。シニョーリア広場にはダヴィデ像のコピーを含める多くの彫刻が置いてありました。アカデミア美術館にはミケランジェロの未完成の作品が多く残されていました。ミケランジェロは自分の気が向いたときにしか作らないので未完成の作品が多いそうです。
彫刻の裏側には試し彫りもあり、これは実物でないと見られないなと、また幸せな気持ちになりました。でも何よりダヴィデ像がかっこよかったです。思っていたより大きく、腹筋やわき腹は筋肉ムキムキで教科書にのっているものとは迫力が全く違いました。
目がハートの形をしているのも初めて知りました。あんなに大きな彫刻を倒さず作り上げたことに感動しました。さすがミケランジェロと思いました。ダヴィデ像のコピーも見ましたが筋肉の盛り上がり方が比べものになりませんでした
この日の最後はドゥオモのクーポラにのぼりました。クーポラの内側にはヴァザーリらによる壮大なフレスコ画「最後の審判」が広がっています。間近で見た最後の審判は迫力が違いました。天国と地獄にわかれ両方から伝わってくるものがありました。たくさんの階段をのぼって疲れましたがでも頂上へ着くとその疲れを吹き飛ばすような景色がそこにはありました。茶色い建物が目の前にいっぱい広がっていて何とも美しい眺めでした。
〈4日目〉
この日もフィレンツェ研修でした。サンマルコ美術館に行きました。サンマルコ美術館はフラ・アンジェリコの作品が多くあります。ここは図書館、応接間、食堂、会議室にわかれています。図書館だったところには、「最後の審判」がありました。真ん中の神に対し右は天国を表し花畑が広がり歌ったり踊ったりしている様子が描かれていました。一方左は地獄を表しうなされたり苦しんでいる人々の様子が描かれていました。「十字架降下」では人の髪飾りに金箔が使われていてそこが目立っていました。写真ではそこだけ絵の具が使われていないと気づきにくいけれど実物だと一発でわかりました。
会議室だった部屋にある絵の十字架の下に描かれている頭蓋骨はアダムであり死を意味します。食堂だった部屋の多くに「最後の晩餐」があります。修道院での食事は静かにするためです。フラ・アンジェリコ作の「受胎告知」は一番きれいに見えるといわれている階段のところから見ました。ぽわっと浮かんでいるような透明感あふれる絵でした。
フラ・アンジェリコと弟子の絵を比べると鮮やかさが全く違いました。フラ・アンジェリコの絵は白に近く透明感があります。しかし弟子の絵は黒に近くべたっとしています。フラ・アンジェリコは上手なので一発で色を塗れます。一方で弟子は自分の色に満足しないため何度も色を重ねて塗るので黒に近づくそうです。
夜ご飯はイタリアのマクドナルドで食べました。ハンバーガーは普通においしかったのですが、シェイクは後味が悪く薬っぽい味がしました。日本のマクドナルドのほうがおいしいです。最後にユーロスターに乗ってローマについたところで1日を終えました。
〈5日目〉
私が一番行きたかった町ローマです。まずコロッセオに行きました。本名は「アンフィ・シアター」で「円形劇場」という意味です。1枚の写真におさまりきらないほど大きかったです。5万人もの観客が入ることができるそうです。コロッセオは卑弥呼よりも前の時代につくられたのに、一度も建物が傾いたことがないそうです。しかも接着剤を使っておらず石を重ねているだけです。アーチの部分でさえ使われていません。古代ローマ人の技術の高さがとても感じられます。昔は戦いに使われた場所だと聞くとぞっとしますが今となってはローマの素晴らしい遺跡です。どっしりと構えるコロッセオはかっこよかったです。
バチカン美術館に行きました。「世界で一番小さい国はバチカン市国」とよくでてくるので国境を超えるとき何かあるかと思ったけれどいつの間にかバチカン市国に入っていました。ラファエロの間の署名の間にある「アテネの学堂」は私が注目していた作品でした。
アテネの学堂には54人もの人が描かれています。描かれている一人一人の身振りや表情に意味があってそれをラファエロ一人ですべて考えて描いたということを考えただけで感動です。アテネの学堂だけでなく署名の間の壁面も天井もすべてラファエロの手で描かれたと知りました。署名の間に入ったとき部屋自体が芸術作品だなと思いました。どういうことかというと部屋自体はすべて平らです。なのに壁に描かれている絵の上や下の部分が飛び出ているように見え、立体が感じられるのです。本当に驚きでした。すべて絵で表現されているなんて。この感動は現地でないと感じられないなとふとまた幸せな気持ちになりました。
次にイタリアで見たものの中で一番感動したシスティーナ礼拝堂です。ここは撮影禁止なので写真はありませんが本当に感動でした。天井には「楽園追放」や「アダムの創造」が描かれていて順に物語が流れていました。祭壇の奥の壁面には「最後の審判」がありました。建物の中はとても広いのですが天井も壁も隙間なく描かれ、さらには立体的に見えるところもありミケランジェロの作品に見とれていました。写真で見るのとは全く違う空間の中のシスティーナ礼拝堂には本当に言葉が出ませんでした。
続いてサンピエトロ大聖堂に行きました。中がとっても広くて6万人以上収容可能と言われています。ミケランジェロがつくった4体のピエタのうち1つがここにあります。最初のピエタです。服の布の柔らかい感じを石で表現してありました。ラファエロの遺作である「キリストの変容」がありました。一人一人の表情が違い、今にも動きだしそうでした。外から建物を見るとどっしりと構えていました。広場にある柱は真ん中を境に右側は柱が全部重なっているように見え、左側は重なることがないようなつくりになっていて製作者のユーモアが感じられました。そしてその柱の一本一本の上にはずらーっと彫刻が並んでいました。
そしてこの日の最後はオペラでした。会場に入った時のゴージャスできらきらした雰囲気はずっと目に焼き付いています。何を言っているかはわかりませんでしたがマイクなしでの透き通った声のボリューム、演技力、そして耳に入ってくる演技とピッタリなオーケストラの演奏。すべてが美しくて見入ってしまっていました。オペラというすばらしいものを見れて本当に幸せな時間でした。
〈6日目〉
まずフォロ・ロマーノに行きました。フォロ・ロマーノはコロッセオ10個分の広い敷地です。私たちが見たのもほんの一部です。石と緑でできたお庭みたいなところでした。イタリアだなぁと感じられる場所でした。写真スポットでほかの国からの観光客の人とふれあえて英語で会話できたこともいい体験でした。
次は真実の口です。混んでいたので手を突っ込んで写真を撮る時間しかなくてあまりじっくり見ることはできませんでした。
次のスペイン階段は工事中でしたが長い階段は目に焼き付いています。
トレビの泉はまぶしいほどの白さでした。コインの投げ方や投げる枚数によって願いも違い、とても楽しめました。ここでもほかの国からの観光客の方に投げ方を教えてもらい少し英語で会話ができました。いざ英語を話すとなると英語が出てこなくて焦りました。
最後にパンテオンに行きました。静かな空間でした。建物にはドームの形だったり声が響くのをおさえたりといろいろ工夫がありました。
6 日目は地下鉄やバスのような交通機関を利用して移動しました。地下鉄はスリらしい人の目が私たちの荷物をじっと見てねらっていて怖かったです。バスも日本とは違い運転が荒くてどこかにつかまっていないとすぐに飛ばされる勢いでした。
〈7日目〉
朝早くホテルを出てバスで空港に向かいました。最後までイタリアの街並みを眺めていました。イタリアにずっといたいなぁ、住みたいなぁと思いつつ、でも日本が恋しいなぁそんな気分でした。飛行機では1週間の疲れがたまっていたのかぐっすり寝ていました。いつのまにか日本着いた、という感じでした。日本に着いて家族の姿が見えたとき無事に帰ってきたんだなと安心しました。
〈海外学習を終えて〉
私はイタリアに行ってたくさん学びたくさん経験しました。とても強く思ったことは、ざっくりわけて2つあります。
まず1つ目は事前にイタリアのことをいっぱい勉強してよかったということです。何も勉強していなかったらこれがこういう建物かすごいなー程度の感想しか出ないと思います。でも私たちは行く場所を把握し、そこにはどういう作品があってどういう特徴があって、と深く勉強しました。そのおかげで実物を見るときの見方が違いました。この作品はここに着目してみるといったように、より作品を楽しんで見れた気がします。でも現地に行ってガイドさんの話を聞いていると、まだまだ知らないこともたくさんあって芸術というものは奥が深いなぁと改めて感じました。事前にはあまり時間がなくて大変な時もあったけれどきちんと勉強して事前にたくさんのことを知れてイタリアでの1週間がより充実したものになったなと思いました。
2つ目は写真と本物は全く違うということです。平面と立体ってこんなにも迫力が違うんだなと感じました。彫刻に関してはどの向きに掘っているかとか、こんなところまで細かく彫っているんだと製作者の腕前に驚きでした。絵画では写真では見えないような細かい部分や、筆の動きがより感じられました。建物も大きさに圧倒されました。芸術作品がすぐ手の届くところにあって、間近でじっくり作品を見ることができました。街を歩いていると普通に彫刻がぽんとそこらじゅうにおいてあるので、ここは日本と違う部分だなと感じました。
ご飯に関してはとってもおいしいごはんばかりでした。しかし私にとって量が多すぎたため食べきることができないものもあり、残念に思いました。この海外学習は私にとって一生に一度の大きな経験となりました。ここに書いていない出来事もまだまだあります。とても濃いとても幸せな1週間でした。今回学んだことを生かしていつか私が家族を案内したいです。
一緒にイタリアに行ったメンバー、梶野先生、牧瀬さん、熊沢さん、近畿ツーリストの方々、家族、友達、海外学習に関わったすべての人に感謝でいっぱいです。ありがとうございました。