US2013報告集12

  第1回海外学習の個人レポート US2013 2年 N.H さん 

参加者から提出された報告レポートです。個人名や写真の表現・配置等にオリジナルとは異なる点はご容赦ください。皆さんのレポートは下の略名をクリックして頂くとご覧いただけます。
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 国立スミソニア博物館&メトロポリタン美術館見学の旅」レポート

はじめに

このたび、見聞を広めるため人生初の海外渡航をさせていただいた。行先はアメリカ合衆国である。現地では“実物”を見ることで多くの発見をし、多くの驚き、感動を得ることができた。今、レポートを書くためにたくさんの写真を見直したのだがその発見、驚き、感動が頭の中によみがえってくる。
本レポートでは国立スミソニア博物館とメトロポリタン美術館をはじめとして、アメリカで発見し驚いたことを中心に日記形式で書こうと思う。

3月20日(初日)

生まれて初めて海外に行くため、この日は十数時間にわたる国際線がいかなるものなのかが非常に楽しみだった。実は飛行機は今までに国内線に一回乗ったきりだったので、十数時間も乗るのは正直キツイだろうな、と思いつつ搭乗した。
はじめに驚いたのは機内の安全設備についてのVTRが英語だったことだ。デルタ航空はアメリカの航空会社だから当たり前のことだが、このVTRを見て改めて、これからアメリカに行くのか、と思い英語がニガテな僕は非常に不安になった。

機内食

機内食が思っていたよりもおいしかったことにも驚いた。アメリカの航空会社だからアメリカ人が好むような味が濃いこってりとしたものを予想していたのだが、日本でもよく口にするような、たいして味の濃くないあっさりとした調理がされていて食べやすかった。また肉料理などは加熱もされていておいしかった。

 

空港内の列車

デトロイト空港に到着して初めに驚いたのは空港内の列車だ。一直線に伸びたターミナルの端から端までを結んでいて便利なのだが、セントレアなら動く歩道で済ませている距離なので、わざわざこのような列車を走らすのはなぜだろうと考えた。

 

イエローキャブの集団

デトロイトからさらに飛行機を乗り換えワシントンD.C.へ。空港から出てはじめて目にしたのはイエローキャブの集団だ。写真にはないがよく映画などで見るような車体全部が黄色のタイプも走っていて、アメリカに来たのだ、と感動した。

 

シーフードの海鮮料理
シーフードのスプライト

バスで市内を観光しながらこの日の夕食、シーフードのレストランへ。バイキング形式になっていて、日本では見たことがないような様々な海鮮料理を食べてみた。でも、あまり口に合わない。中でも鮮明に覚えているのは本場のロブスター。泥の臭いがして食べるのに苦労した。アメリカ人はこの泥臭さが気にならないのか、と思った。一緒にとったムール貝の方は僕でも食べられるくらい臭みがなくて食べやすかった。飲み物にはスプライトを頼んだ。日本のスプライトは甘さを控えめにして若干酸味を感じるような味なのだがアメリカのスプライトは甘さが強く炭酸砂糖水といった感じだった。アメリカと日本の食文化の違いを実感した初日であった。

 

3月21日(二日目)

アメリカで最初の朝食

この日はアメリカで最初の朝を迎えた。それから朝食へ。前日のシーフードで苦労したので覚悟して朝食会場へ行った。朝食は日本のホテルと同じバイキング形式。ベーコンをカリカリに焼いたものやスクランブルエッグなど日本のホテルでも見るような料理が並んでいた。味も日本とは大きくは変わらず、脂っこくなくておいしく食べられた。
驚いたのは飲み物だ。アメリカでは「ジュース」というと果汁100%のもの指すそうでオレンジジュースにはちゃんとオレンジの粒粒が入っていた。

 

いたる所にある銅像

朝食の後、ホテルを出発し、この日の最初の目的地アーリントン国立墓地へ向かうバスの中から市内を観光。車窓を眺めているといたる所に銅像が立っていることに気づいた。現地のガイドさんによると市内には250体ほどの銅像がありみんなホワイトハウスを向いているらしい。また馬に乗っているものは乗馬している人の亡くなり方を表しているそうで、馬が片足を上げていれば病死、両足を上げていれば戦死した人なのだそうだ。

 

ケネディ大統領のお墓

アーリントン国立墓地に到着しケネディ大統領のお墓へ。ワシントン市内が一望できる高台の上にあり、ケネディと妻のジャクリーン、息子、娘の墓標が石畳の中に埋め込まれていた。日本のお墓とは違い大変シンプルであることに気づいた。

 

リンカーン記念堂

次に向かったのはリンカーン記念堂だ。真っ白で荘厳な建物で、中にはかの有名なリンカーン大統領の像があり、両側の壁には彼の有名な二つの演説が記されたレリーフがある。一方はあの「人民の、人民による、人民にための政治」のゲティスバーグの演説だ。記念堂の正面には長方形の池を挟んで記念塔が立っておりリンカーンの目の高さからは池にきれいに記念塔が映ってみえるらしい。
その後、この日のメインのウドバー・ハジー・センターへ向かった。

 

Lockheed SR-71A Blackbird

入館して最初に見えるのは有人飛行で世界最速記録を作ったLockheed SR-71A Blackbirdである。機体全体が曲面の組み合わせでできていて、さらに漆黒に染まっているため芸術品のように思える美しさだった。小さいころに図鑑で見て憧れていたBlackbirdの実物を見ることができてうれしかった。

 

B-29 Enola Gay

次はB-29 Enola Gayだ。アメリカでは英雄視されていると聞いたことがあったが、説明書きの読める範囲にはそのような感じの書き方はされておらず、機体の製造、運用、原爆投下の事実が淡々と書いてあるだけであった。また、巨大な機体を見ながら、こんなに大きい爆撃機を持つ国と日本は戦争をしていたのか、とか、この飛行機一機が落としたたった一個の爆弾で何万人もの死傷者を生みだしたのか、などのことを思い、戦争とはなんて愚かなことなのだろうかと考えた。

 

スペースシャトル

他にもスペースシャトルや超音速旅客機のConcordeなど小さいころに図鑑で夢中になって見ていた飛行機の実物を見ることができたのは嬉しく、実物だからこそ大きさや迫力が伝わった。

 

3月22日(三日目)

この日のメインはスミソニアン博物館群でも有名な国立自然史博物館とナショナルギャラリー、そして国立航空宇宙博物館だ。
国立自然史博物館で驚いたのは、鉱石の展示スペースだ。ホープダイアモンドをはじめとした世界中から発見されたカラフルな宝石・鉱石が数多く展示されていて、見ていて飽きない。説明書きを見てみると化学で習った化学式もあって、実際の物質の質感や大きさがよくわかり興味深かった。また、鉱石の形や色も興味深く、とぐろを巻いたような形のものや紫外線を当てると発光するものなども見たこともないような鉱石に目が釘付けになった。
ホープダイアモンド カラフルな宝石・鉱石 カラフルな宝石・鉱石

キリスト生誕

ショナルギャラリーでは中世の宗教画から印象派までの絵画を中心に鑑賞した。一番興味深かったのはフラ・アンジェリコとフラ・フィリッポリッピが描いたキリスト生誕の場面の絵画だ。生誕の場面の絵画には必ず星が描かれるのだそうだが、この絵画には星が描かれていない。では、この絵画ではその星をどう表現しているのか。実は画面左の赤い服の空を見上げている男性が星を見ているという形で星の存在をあらわしているのだ。絵画の表現の可能性を改めて実感できる話で非常に興味深かった。

Bell X-1 SpaceshipOne ライトフライヤー号

国立航空宇宙博物館では、前日のウドバー・ハジー・センター同様に展示物の多さと生で見る大迫力の飛行機に大変驚いた。入口から入ってすぐの広い空間には世界初の超音速飛行機のBell X-1や初の民間宇宙船のSpaceshipOneなどの飛行機・宇宙船が展示されていた。どちらも図鑑で見たことがあったので実物を見ることができてとても嬉しかった。また、世界初の飛行機のライトフライヤー号も見学した。木製の骨組みに布を張った程度のもので現在の飛行機とは似ても似つかない。しかしこの飛行機から今日の超音速飛行機やジェット旅客機、スペースシャトルなど数多くの航空機が誕生したことを考えると人類の技術革新はとてつもなく速いものだなと感じた。

3月23日(四日目)

自由の女神

朝早くからワシントンからニューヨークに向けて移動した。
ニューヨークに到着して感動したのは、やはり本物の自由の女神を見ることができたことである。観光船に乗って海上から見たのだが、まずはその大きさに圧倒させられた。片手をあげたその姿に威厳があるように感じた。自由の女神を見てニューヨークに来たことを強く実感した。

WICKED

夜にはミュージカル「WICKED」を見に行った。あらすじは事前に調べていたので知っていたが、本場の英語のミュージカルはやはり何を言っているのか分からないところも多かった。また言葉自体は聞き取れてもアメリカ人にしかわからない言い回しやジョークもあるようで周りの観客がなぜ笑ったり深刻そうな顔をしたりしているのか分からないことも多かった。しかし言葉が分からなくても歌は素晴らしくて聞いているだけで楽しめた。また演技だけでもストーリーの雰囲気が伝わり面白かった。

 

3月24日(五日目)

この日のメインはメトロポリタン美術館とアメリカ自然史博物館だ。
メトロポリタン美術館にはロダンの考える人、レンブラントの自画像、世界史の資料集にも出てきたソクラテスの死などの有名な絵画・彫刻が多数展示されていた。またロバート・キャパのノルマンディー上陸作戦の写真も展示されていた。キャパは最近テレビ番組で話題になっていて実物の写真をいつか見たいと思っていたので思わぬ機会に見ることができてとても驚いたし、嬉しかった。ブレてボケている写真からは戦場での緊迫した空気が伝わり戦争は恐ろしいと思った。
レンブラントの自画像 ソクラテスの死 ロバート・キャパのノルマンディー上陸作戦

アメリカ自然史博物館ではワシントンの国立自然史博物館であまりゆっくり見られなかった生物に関する展示を見に行った。特に恐竜の化石が展示されているフロアでは日本で見ることができない化石が数多く展示されていて興味深かった。中でもスティラコサウルスという頭のフリルと角で有名なケラトプス科(トリケラトプスの仲間)の恐竜の化石は是非とも見たかったので見ることができてよかった。小学生のころはずっと恐竜が好きで図鑑ばかり読んでいたのだが本物の大きさは想像するしかなかった。その時読んだ図鑑の絵から体高は僕の身長の二倍あると想像していた。しかし実際見てみると想像していたほど大きくはなく、体高は僕の身長とあまり変わらないことがわかった。やはり実物を見ることは大変重要だと感じた。

水を飲むポーズをとっているトラの剥製 写真のように切り取った展示 セットの境界がわからないビッグホーンの展示

アメリカ自然史博物館の生物の展示で驚いたのは恐竜ばかりではない。それは剥製をそのまま展示するのではなく、自然の中で生きているようすをそのまま写真のように切り取った展示になっていることだ。たとえば上の写真のようにトラの剥製は水を飲むポーズをとっている。日本を含むほかの博物館ではトラの剥製はあってもこのようなポーズをとっているのは見たことがない。また背景やセットにも凝っていて、ビッグホーンの剥製は後ろの山脈と手前のセットの境界が一瞬わからずビッグホーンが生きている山々の雄大さ、そこに生きているビッグホーンの姿がそのまま切り取られたかのようだった。

3月25日(六日目)

この日はアメリカを去る日だ。

アメリカの天ぷらうどん

ニューヨークからまずはデトロイト空港へ向かう。デトロイト空港でアメリカでの最後の買い物を楽しんだ後昼食を食べた。食べたのは、今回の旅で絶対に食べてみたかったアメリカの日本食だ。天ぷらうどんを頼んだ。注文するとレジ横で待つように言われたので調理を見ていたのだが、日本の駅うどんと作り方は変わらなかった。ゆで麺を湯通しして作り置きの汁をかけ天ぷらと具を載せて出来あがり、である。やはり日本のものより油の量は若干多いが、味はしっかりとだしがきいていておいしかった。久しぶりに日本食を食べたので、日本に帰って早くみそ汁と米飯が食べたい、と思い自分が日本人であることをあらためて発見した。

まとめ

アメリカに行って強く感じたことは“実物”を見ることの大切さである。本文中で何度も書いたことではあるが実物には写真を見たり本で読んだりするだけではわからない大きさ、質感、美しさがあった。展示物ばかりではない。食べたり飲んだりしたものや街中の雰囲気など実際に体験してみることでわかるアメリカと日本の文化の違いがあった。
そしてアメリカで“実物”を見て、僕はこれからしっかりと日本について学ばねばと思った。もっと日本にある“実物”をみて日本を知る必要があると思った。日本人としてしっかり日本を知ったうえで将来もう一度アメリカへ行き、増やした知識をもとにアメリカと日本の文化の違いを深く探求したい。