設立一周年記念海外学習のレポート ITF2014 2年S.Tさん
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個人レポート
私の今回の海外研修に参加した理由は、大きく2点あります。1点目は、他の国の建築物を見たかったからです。日本の歴史的建築物といわれて思い浮かぶものは人それぞれでも、同じような建築様式の建物を思い浮かぶと思います。そんな建築様式の特徴を自分の目でみて感じたいと思いました。2点目は、ありのままの海外、また考えの違いについて知りたかったからです。それぞれの地域で考え方などは違います。それはあたりまえのことで理解はしていても私たちが住んでいる日本は島国のため他の国の考え方に直接ふれあうという機会があまりなく実感しにくいのが事実です。また、私が海外のことについて知るときはテレビや新聞、インターネットを通して知ります。何かを通すということは誰か他の人の視点から物事をみるということです。何も通さずにみた世界、それを感じたかったのです。
海外に着いて初めて海外に来たのだなと初めて実感したのは入国審査で外人の方と話した時ではなく、乗り継ぎのヘルシンキで買い物した時でもなく、ローマへ向かう際に飛行機の中からみた景色でした。統一されたような温かみのある屋根が立ち並ぶその景色は日本にはないものだと思います。それぞれの都市でもやはり町並みは違いました。
ローマは立ち並ぶ建物に彫刻の装飾などがほどこされていたりして華やかなイメージを受けました。そして町並みを見ているだけでも聖書の一場面を切り取った絵などが建物の装飾の一環としてあるので、キリスト教の信者が多いことがうかがえました。
フィレンツェは建物に石畳みのような部分もあり、色も自然のもので落ち着いた雰囲気がありました。建物と建物をつなぐ連絡通路も多く見ました。
水の都、ベネチアの建物の装飾は少なかったですが色が様々で楽しめました。イタリアという国の持つ陽気さを一番感じた町並みでした。
ミラノは商業や経済、流行の中心となっているからか近代的な建物が多かったです。
パリは高級住宅地とその他の地域で大きく町並みが違いましたがどちらも静かな印象を受けました。
そしてどこに行っても物売りの人、スリ、物乞いの人がいました。花の物売りが飲食店の中にも入ってきたこともありました。店の中で他の人が商売をするということが日本では考えられなかったのでびっくりしました。しかし、店によって、特定の人は許可をしているところもあるそうです。これも日本との考え方の違いかなと思いました。物乞いの人は地下鉄にもいました。スリは聞いていたとおり子供でした。そのスリの子にお金を渡している人も見かけました。これらからも治安はやはり良いとはいえません。物売りに話しかけられたとき、困りました。物乞いの人を見て素通りしたとき、いい気はしませんでした。ガイドさんの「あの子たちはスリだから気をつけて」という言葉にスリの子が反応してひどい態度をとられたとき、少し嫌な気分になりました。しかし私の中で海外への暗いイメージは増えませんでした。むしろ、そのような状況を目の前にしたにもかかわらず研修に出発する前より改善されたように感じます。物乞いの人は日本ではまず見ません、きっとそれは成り立たないからです。勝手な想像ですが、物乞いの人がいるのは宗教での教えで慈悲などの精神がある人が多いから成り立つのではないのかな、そして日本では差別的に見てしまうスリという行為をする子にお金を渡す人がいたのもそのような背景が関係していのではないかなと思いました。
ヨーロッパの歴史的な建築物は日本と違い石でできているので長持ちします。しかし、ずっとそのままというわけにはいきません。それらは後世にしっかりと受け継がれるように守られていました。フィレンツェのドゥーオモでは洗浄作業がされていました。作業の済んだ正面は済んでいない横と比べとても白くなっていました。しかし、とても大きいので全ての洗浄作業が終わった時には正面は横のように汚れてしまうらしいです。全てがきれいな状態を見られないことは残念ですがそれだけ大きな建物を作り上げた昔の人々に感銘を受けました。
他にもミラノのドゥーオモでは手を加えたことがわかるところがありました。その場所は床です。大理石でできているのですが中を一周ぐるりと歩いていただければ気づく方もいるはず…、大理石の模様がでこぼこしている部分と平らな部分があるのです!平らなほうが手を加えた方で、でこぼこしている方が昔からのです。大理石にも色によって硬さがそれぞれなので一番硬い黒色の大理石が出っ張るそうです。
様々な聖堂に行きました。どの聖堂でもその中の空間の広さに驚きました。高さも、そして奥行きのあるその中を柱が支えるので視界を遮るものがほとんどないのです。柱がずっと先に続いている様子もまたその場所の広さを強調しているように思えました。
また、ステンドグラスも多くありました。聖堂の中は比較的暗く、外の光で輝くステンドグラスはとても強調されてきれいに見えました。ミラノのドゥーオモのステンドグラスは聖書の物語になっているものもあり、時間をかけて一つひとつ見たくなるものばかりでした。
しかし、初めて聖堂に入ったとき違和感がありました。うまく表せないのですが私が思っていた聖堂の雰囲気からかけ離れていたからです。まるで美術館のようで…本来の役割を感じられなかったのです。写真で見ていた限りでは思わなかったことでした。
研修に行く前までは建築物、その土地の様子にしかあまり興味がなかったのですがガイドさんからの芸術品の説明をきいていたら興味がわいてきました。
上の2つはどちらもナポレオンの戴冠式の絵です。しかし、違いがちゃんとあります。
他にも様々な絵を見ましたが、それぞれに意味があってその意味を知ってから見るとまた違って見え、その絵に魅了されました。
私たちは様々な建築物、芸術品を見てきました。どれも計算されて作られており、建物の中では天井画などに目を奪われがちですが床も様々な工夫がされていたのでどこを見ても感動するばかりでした。
今ではとても評価の高いものでも、昔は不評だったものが多くあります。時代がものの見方を変えている、そう思いました。
街を歩いていても歴史の断片や宗教といったあまり日本では感じられないものを強く感じることができ、生活の中に溶け込んでいるそれらが今の人々の生活にどれだけ影響を与えているのかがうかがえました。
言語が違う、マナーが違う、生活が違う…様々な違いはコミュニケーションをとるうえでとても大変だということがわかりました。私は将来様々な人と幅広く接してたいと思っています。その際に相手視点から考えられるようになりたいのです。そのために言語は必ず乗り越えないといけない壁ですが、それ以上に相手がどのような環境で育ち、どのような感覚が根付いているのかということを知るのが大切だなと思いました。
このように思えたのも、この研修のおかげです。行く前は不安もありましたが、研修時は初めて知ることばかりでその驚きや感動であっという間に日にちが過ぎてしました。そんな経験ができるので次の海外学習助成事業に参加しようかと迷っている生徒の方はぜひ応募してみてください。
最後になりましたが、このようなすばらしい機会をつくってくださった熊澤さんをはじめ、近畿日本ツーリストの方々、引率してくださった有馬さん、日比野先生、杉本先生、現地のガイドの方々のおかげで何事もなく今までにないすばらしい経験ができました。また、送り出してくださった方々、メールをくれた友人「初めて」ばかりのこの研修でとても心強く支えになりました。この研修で感じた感謝は言い尽くすことができないほどです。本当にありがとうございました。