第6回海外学習の研究レポート 2年ITMさん
このページは各参加者の分担による研究報告を元にしています。各項目のクリックで該当ページに移動します。間違い等は、お許しください。
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ローマ(2)
コロッセオ
出発前の天気予報では5日間の観光日中3日間が雨の予報でしたが、大変幸運なことに4日目に雨が少しパラついた程度で青空のもと研修を行うことができました。…という前書きが成立するまで約1時間を残したところで、最後の目的地コロッセオへと向かう途中にこの研修期間中はじめての大粒の雨が降り出してきました。
晴れの予報だったため傘を持っている人が少なく、10人が2本の傘と牧瀬さんからお借りしたストールで数十分間の見学時間を過ごしました。さすが「3月のイタリアはキチガイ天気」と言われるだけあって天気予報もあてになりませんね。そして、その時にコロッセオ前で撮影した集合写真がこちら。雨の中でも皆笑顔とは若いなぁ。中でも写真左の1年生の女の子たち、若さがほとばしってるわ、眩しい!レポートを書きながらつい3日前の充実した日々の出来事が遠い昔のことのように感じられます。もう感覚がおばあさんなのかしら。
あいにくの雨ではありましたが、近くで見ることで改めてコロッセオの大きさに驚き、全員思わず「おぉ~」と感嘆の声がもれました。私は、参加者の中で唯一の世界史B受講者と言う事で、古代ローマ史で習ったこの場所について事前学習を担当し、実際に見られることを楽しみにしていたので、感動も一入。学んだものを目にすることは、学習への意欲をより一層高めてくれるように感じました。
本題に移りまして、ここからはコロッセオについてこの研修を通して学んだことをまとめていきたいと思います。コロッセオが作られたのは今から2000年近くも前の70~80年。そんな昔に高さ48m、外周527m、収容人数5万人の大建造物を建設した古代ローマ人の建築技術の高さには驚かされるばかりです。当時富裕層が行っていた『パンと見世物(サーカス)』という施しの一環としてショーが催されていたコロッセオの内部ではグラディエーターや猛獣が命を懸けて戦っていました。若干お話はそれまして、現在コロッセオの周辺には一緒に写真を撮ることができるグラディエーターの格好をした人達が多くいます。そんな人たちを横目に見つつ当時を回想してみるのも素敵ですね。
ただし、一緒に写真を撮る場合は要注意です。ガイドさんによると一枚写真を撮るだけで€50(私たちの出発時のレートで約6750円)ほどぼったくられることもあるそうなので写真は撮らないほうが賢明かも。どうしても撮りたかったら値段交渉を済ませてからにしましょう。€50あればジェラートを15回以上は食べられますから、少しでも怪しいなと思ったら慎重に行動してくださいね。そして余談でしかありませんが、お腹のポヨンとした中年のおじ様ばかりがこのお商売をなさっていたので、どうせぼったくられるならイケメンにしときましょう、女の子たち。
さてさて、お話しは戻りまして外壁のいたるところに見られる小さな穴について説明していきます。これらの穴は戦時中、武器を製造するために金属を取り出した跡なんだそうです。日本だと各家庭からお鍋や、やかん等を回収して武器を作っていましたが、イタリアではコロッセオのような歴史的建造物からも金属を頂戴していたんですね。そう聞くと2000年も後に生まれた若輩者ではありますが、「よくぞ戦火を生き抜いた、コロッセオと褒め讃えたくなってしいます。
再び少しお話はそれまして、日本人の感覚からすると、とても歴史的価値の高い金属を使っているような気がしますが、街のあちこちに遺跡がみられるイタリア人は、そこらへんの感覚が違うのかなぁ…なんてこの研修を通して思ってしまいました。バスで少し走るだけで現地ガイドさんが「あれは○百年前、あっちは○千年前の~」とノンストップで解説をしてくださるので、イタリアには本当にたくさんの遺跡が残っているんだ、と私は驚きっぱなし。最後のほうには、感覚が麻痺してきて100年前の建物と聞いて生意気にも「まだまだ若いなぁ」なんて思うように。日本に帰ってきて考えると、私なんてまだ17年しか生きていないんですから生意気にも程がありますよね。
既に何度余談をはさんだことか、といった感じですが、続いてコロッセオの特徴的なアーチ部分がもつ役割を紹介します。事前学習の際には建設時に建築材の搬入に役立ったとご紹介しましたが、事後調べてみたところ、コロッセオを巨大な建築物にするためにも一役かっているんだとか。アーチを窓として利用しつつも、アーチ分の重みをなくすことでコロッセオをより高く作ることに成功したそう。まさに一石三鳥ですね。そして、窓として利用していたと言う事は日差しを取り込んで中を明るくしていたことを意味すると思うのですが、コロッセオにはもう一つ日差しに関するすごい工夫がなされていたんです。その工夫とは、一般席は1日に20分以上直射日光があたらないよう、皇帝の座る席に至っては全くあたらないように設計されていた、です。2000年も昔に太陽の動きまで考えて建築できたなんて、現代の天文観測技術に勝るとも劣らない自然に対する優れた観察眼があったんでしょうね。
そして、コロッセオが一石三鳥なのはアーチ部分だけじゃない!実は柱にも秘密があったんです。三階建てのコロッセオは階ごとに柱のつくりが違い、一階はドーリア式(左)、二階はイオニア式(中)、三階はコリント式(右)となっています。これら三様式全て、世界史で学ぶもの。つまりコロッセオに行けば世界史で学習する知識を一度に3つも本物から学べちゃうんです!なんというハイブリッド建築!!
さて、ここまでで既に原稿用紙5枚分以上の文字数があったことにお気づきになられましたでしょうか。なんだって?伊藤喋りすぎ?ん~、わかる。でもまだまだ伝え足りないのでお付き合い下さい。コロッセオに関しては大切なお話も余談もたっぷりとできたことですし、お次は他のローマの名所を紹介していきます。
担当場所にとらわれないレポートも(勝手に)お届けしちゃいます。
• 真実の口
もともとは、古代ローマ時代のマンホールのフタだったそう。当時は、水をよく飲み込むようにと願いを込めてマンホールのフタに水の神様の顔がほられることが多かったんだとか。あの不思議なお顔は神様だったんですね。また、目・鼻・口に穴が開いているのはそこを水が流れていたためです。昔は間違っても現代のように口に手を入れるような使い方はされていなかったので、マンホールがすっかり観光スポットとなった現状を古代ローマ人が見たらどう思うんでしょう。
• アウレリアヌス帝の城壁
271~275年にアウレリアヌス帝によってつくられたローマ周辺の城壁です。建築材料として事前学習でも紹介したローマン・コンクリートが使われています。復習になりますが、このローマン・コンクリートは火山灰を利用することで優れた耐久性を得たコンクリートでした。その強度は現在のコンクリートの約2倍と言われ、寿命に至っては20倍との見方もあります。そんなに素晴らしいコンクリートなら私たちも使えばいいじゃないか、と思ってしまいますが、ローマン・コンクリートの製造方法は現代の科学技術をもってしても解明できていないのだとか。
• スペイン広場
イタリアローマにあるのに『スペイン広場』。スペイン大使館があることからその名がついたんだとか。135段の階段の一番上からはサン・ピエトロ大聖堂のクーポラを望むことができます。訪れた際は、是非目を凝らして探してみてください。そして、135段あるこの階段こそが『ローマの休日』で有名になった『スペイン階段』。集合写真では大部分が隠れてしまっていますが。これがその階段です。
• ヴェネチア広場
これまたイタリアローマにあると言うのにその名は『ヴェネチア広場』。広場がヴェネチア宮殿に面していることから名づけられたそう。ムッソリーニがここで演説を行ったこともあるんだとか。白い大理石と風になびくイタリアの国旗がベストマッチでした(写真ではあまりなびいていない、ごめんなさい)。
• トレヴィの泉
1762年に完成したとても大きな噴水です。トレヴィの泉に背を向けてコインを1枚投げると再びローマに来られる、2枚だと恋がうまくいく、3枚だと離婚できるという言い伝えがあるので私たちもコインを投げてきました。女の子は2枚の子が多かったかなぁ。ローマより恋をとったのね(笑)左の写真はまさにコインを投げている男の子たち。右手で左肩側へ投げるというのが決まりなんだそう。彼らはローマと恋のどちらをとったんでしょうか。その答えはネプトゥーヌス(写真中央の神)だけが知る…!?
ちょっとくだらないお話も聞いてほしいのです。
イタリアのお料理ってとっても美味しいんです!だからついつい食べ過ぎちゃう。そしてイタリアのお料理って…超がつくほどの大ボリュームだったんです!『アメリカンサイズ』なんて言葉はよく聞くけれど、『イタリアンサイズ』を侮っておりました。
例えば写真のステーキをご覧ください。サイズ感がわかるよう横にスプーンを並べてみました。いかがでしょう、このボリューム。(因みにスプーンが小さいといったことは決してございません。ステーキが大きいんです。美味しいものをお腹いっぱいに食べ続けていたら当然気になってくるのが体重ですよね。
そこで意を決してホテルの体重計に乗ってみることにしました。…ところが、うそやん26㎏はじまりってどういうこと。アナログ式なのですが、針を0に合わせるためのつまみも見当たりません。同室の子に相談してみたところ、「へぇ~、イタリアの体重計って26からはじまるんだね!」と返ってきました。う~ん、これは相当な天然さんですね。
したところ、この日はなんと19㎏はじまり!日替わりなのね。そして私が乗った後、針は23㎏を指しましたので、私の体重は4㎏ということに。おぉ、生まれて以来の低体重。しかし、日本に帰ってきて家族に話したところ、その体重計の単位は“t”だったのではないかという話に。一瞬のうちに人類史上最重量級のJKとされてしまいました。
みなさんもイタリアで体重計を見つけたら乗ってみてはいかがでしょう?その際は針の始点と数字の単位の確認をお忘れなく!