ITF2014日程別_06_a

  日程別レポート  8月4日(6日目)その1

 このページは参加生徒の分担による「一周年記念海外学習の記録」を元にしています。必ずしも日程毎にはなっていませんが、生徒達がたどった道筋の記録です。ご覧いただけますと幸いです。各項目のクリックで該当ページに移動します。間違い等は、お許しください。
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 本日の大まかな流れ

8月4日の日程はベネツィアングラスの専門店に行き、サン・マルコ寺院の見学の後ゴンドラに乗りベネチアを出発しました。その後、ヴェローナの市内を研修し、エルベ広場やロミオの家、ジュリェッタの家、闘牛場などを見ました。

〈学んだこと〉

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ベネチアを歩いていると、羽のついたライオンが至る所で見られます。それはサン・マルコのシンボルであり、ベネチアの紋章なのです。これはベネチアの後訪れたヴェローナでも見られます。なぜかというとヴェローナは昔勢力を増したベネチアの支配下にあったからです。その都市にあるもので昔の都市同士のつながりを感じることができます。
ベネチアの特産品といえば、ベネチアと名前に入っているベネツィアングラスです。実演などの見学や、ベネツィアングラスについて教えていただいたりしました。ベネツィアングラスは鉱物を混ぜて色を出しているので色によって特徴が少しずつ変わってきます。赤色が最も硬いものになっているのです。また、太陽光などのしたでは藤色、白熱灯の下では水色といったように色が変わるものもあります。

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皆さんもいつかベネツィアングラスを買うことがあるかもしれません。しかし、ベネツィアングラスは偽物が多いのです。一般に出回っている6割が偽物だといわれています。偽物も見せていただきましたが正直ぱっと見た感じではわかりません。偽物だとわかるのは時間がたってからなのです。なぜならば、本物は24金で装飾がほどこされていますが、偽物は18金で装飾されており、はげやすくなっているからです。しかし、買うときにそんな時間の経過で判断することはできません。なので、右のマークを買うときについているかどうか見てください。これは本物に貼られるシールなのです。

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サン・マルコ寺院に入るとき、外に描かれたガラスでできたモザイク画がどの方向からでも輝いて出迎えてくれると思います。そして、よく見るとこのガラスが不揃いになっていることがわかると思います。不揃いだからこそ、太陽の光でどの方向でも輝くことができるのです。正面を見て、一番左の絵が外の絵の中で一番古く1260年代のもので当時の聖マルコを描いています。他のものと比べてみると画風が大きく異なりこの建物を構成している絵の年代が幅広いことがわかっていただけると思います。
ところで、サン・マルコ寺院は聖マルコの遺体がある場所ですがこの聖マルコの遺体はベネチアの勢力を上げるためエジプトから盗んできたものなのです。なぜ聖マルコの遺体が勢力を上げるかというと、理由は大きく分けて2つあります。1つ目は巡礼者がベネチアに訪れるようになるので人が増え、商業が活性化するから、2つ目は聖マルコの遺体があることでベネチアの価値が上がるからです。聖マルコの遺体を盗む際、人々の目から逃れるためにヒンドゥー教(イスラム教の誤記)が多いエジプトなので豚に隠して運んだそうです。

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サン・マルコ寺院の内部の絵は全てモザイク画です。そのモザイク画の黄色は純金でできています。なぜ純金なのかというと寺院は外から見てもわかるように窓が小さくなっています。それに加え壁が厚くとても暗くなっています。なので、中を少しでも明るくするために金を使っているのです。テーマは新約聖書で古いものは800年前、新しいものでも200年前のものです。昔は新しいものをつくっていましたが、今では古いものを修復しています。このことから古いものを大切に受け継いでいこうという考え方の変化がうかがえます。
床のモザイク画は大理石でできている幾何学模様、だまし絵です。へこんで見えたり、浮き上がって見えたりします。実際に歩いてみるとわかるのですが傾斜があります。これはベネチアが地盤沈下したことによってできたものです。
ところで大理石にはさまざまな色があり、それらをうまく利用して美しい模様の床が作られています。その中で一番大切にされている色があります。それは、紫色です。なぜかというと紫色は宗教と一番関わりを持っている色だからです。私たちは喪服といえば黒色ですがヨーロッパで喪服といったら紫色、このことから紫色の大切さをわかっていただけると思います。
水の都ならではというべきなのでしょうか、出口の近くに平均台のような木製の板が多数置いてあります。それは浸水した際に使い渡り廊下を作る為のものです。
そして、サン・マルコ寺院の前に広がるサン・マルコ広場。ここは三方を昔役所だった建物が囲む広場です。今では一階は店が並び、二階・三階は博物館や保険会社のオフィスとして使われています。とても活気があり、とにかく鳩が多かったです。ベネチアのメインストリートへつながるアーチの上(下の図)がとてもこっています。

ムーア人の時計塔
※ 塔の頂上部:わかりにくいですが、鐘と2体のブロンズ像があり、10時なら10回、11時なら11回と槌で鐘を鳴らします。
※ 頂上直下:ベネチアの紋章、羽のついたライオン!!
※ ライオンの下:母子像に向かって左側に時間、右側に分を表します。これは5分刻みで変わります。

“補足:時間はⅠ,Ⅱ,Ⅲなどのローマ数字、分は0,5,10等のアラビア数字を書いた幕で表示する、デジタル時計なのです。”

※ 内側に星座、外側に文字盤が表されています。星座は何月かを、文字盤は時間を表します。この形の時計は今は止まっていますが、ベネチアにあるドゥカーレ宮殿にもあります。

“ほとんど全てが”……“時を表しているのです!”

これらはもちろん昔に作られたものですから、古くからのメカニズムで動いているので電気を使ってないそうです。

〈8月4日を終えて、感想〉

ベネチアには前の日の午後につきました。人は多かったですが島という囲われた場所だったので落ち着いた雰囲気を感じましたが、この日の朝に通りに出てびっくりしました。次から次へと船が着き、人がベネチアに訪れて昨日とは比べられないほどの人であふれていたからです。活気があふれ、昨日感じた落ち着きというものは通りにはありませんでした。
ベネツィアングラスの専門店では、短時間で形の定まらないガラスが水差しの形に作り上げられていく過程もすばらしいものでしたが、私はお店の方が見せてくれたそのガラスの強度に驚きました。ベネツィアングラスを机にたたきつけるのです。繊細な細工をほどこされたベネツィアングラスが並ぶ落ち着いた店内に似合わない音が響きましたが、とてもわかりやすいアピールでした。
ゴンドラは地元の人は今では使わず観光客用となっているようなのですが、狭い道も多く通ったので普段の生活が少しだけ見えたように思えます。家の中に通じるドアが水路に面してあって、本当に水と密接な関係で暮らしているのだなと思いました。しかし、そのドアの下の位置より上まで水がきた形跡があり苦労もうかがえました。
リアルト橋の付近になると大きく視界が開け、先ほどの細い道とはまた違った一面を感じられることができました。ベネチアは私たちの住んでいる環境とは違う点と、ベネチアの中でも時間帯や場所によって大きく雰囲気を変えるので1日ただ歩き回るだけでも楽しめる都市だなと思いました。


続きは、日程別 8月4日分(その2)をご覧ください。

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