ITF2014報告集07

  設立一周年記念海外学習のレポート  ITF2014 2年O.Tさん 

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 イタリア四都市、パリ・フランスを訪れて

僕がこの研修旅行に参加しようと思ったのは、海外の文化や歴史を学んだり、外国の生活を体験してみたかったからです。
今回訪れたイタリアとフランスは長い歴史を持ち、多くの偉大な芸術家を生み出した土地です。コロッセオやエッフェル塔などの歴史的建造物や、「ヴィーナスの誕生」や「モナ・リザ」などの芸術作品は、世界的にもよく知られています。僕は、それらを教科書で見たことはあったけれど、自分の目で見るというのはなかなかない機会なので、逃したくないと思いました。また単純に、行ったことのないヨーロッパで日本とは違う生活を送ってみたいという気持ちもありました。そうすることで、日本と外国との違いを知り、自分の視野を広げることができるのではないかと考え、参加を決心しました。

まず初めに訪れたのは、イタリアのローマでした。僕の想像の中では、ローマの街はとても色彩豊かで華やかな印象だったのですが、実際は白や茶色といった落ち着いた雰囲気の場所でした。その理由は、街並みを構成する建物のほとんどが、何百年も前に建てられたものだからです。中には二千年前に建設されたものもあるらしく、旅の中で最も歴史を感じた街となりました。

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ローマには、世界遺産であり世界最小の国家でもあるバチカン市国があります。バチカン市国はカトリックの総本山として知られていて、とても神聖な場所とされています。研修では、その中にある、サン・ピエトロ大聖堂を見学しました。この聖堂は世界最大級の教会堂建築といわれる巨大な聖堂で、正面のサン・ピエトロ広場から見たその姿は神聖さとともに荘厳な雰囲気を漂わせていました。聖堂内に入るときには服装チェックなどの厳しい決まりもいくつかあり、これから聖域に立ち入るのだ、という真剣な気持ちにさせてくれます。
バチカン市国では、バチカン美術館にも行きました。キリスト教美術を中心にたくさんの芸術品が展示されていましたが、特に印象に残っているのは、システィーナ礼拝堂にあったミケランジェロの「創世記」と「最後の審判」です。どちらもとても大きな作品で、特に「創世記」は天井いっぱいに描かれている絵でした。その巨大さに圧倒されると同時に、作るのは大変だっただろうなあと思いました。周りの店ではローマ教皇のポストカードやカレンダー、聖書の形をしたストラップなどバチカン市国ならではのお土産が多く販売されていました。

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ここまでで僕が感じたのは、宗教の力です。僕は今まで、あまり宗教について意識したことがありませんでした。よく考えてみると日本にも寺や神社などはあるのですが、ローマやバチカンでは、日本とは比べ物にならないくらい、宗教が強大な影響力を持っているという感じがしました。人々の間でも、宗教は生活に欠かせないものとして認識されているのだろうと思います。

ローマを離れると、次はフィレンツェに向かいました。フィレンツェの街並みは歴史があるだけではなく景観が非常に美しいことで有名で、中心部が丸ごと世界遺産に登録されています。僕らが行ったときはちょうど晴れていて、バスで高台まで上って眺めた景色は圧巻でした。
フィレンツェではウフィッツィ美術館という、イタリア国内で最大の美術館を訪れました。ルネサンス絵画で有名な美術館で、中でも特に有名な展示品はボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」です。今まで写真でしか見たことがなかったので、目の前にあるとかえって不思議な気分になりました。

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次に行ったアカデミア美術館では、「ダビデ像」を見ました。実際に見るまでは3mくらいの像だと思っていたのですが、実物は5m以上あり、見上げるほど巨大でした。教科書などに載っている写真はほとんどが正面からのものだったので、様々な角度から実物を観察することができて嬉しかったです。
美術館のあとには、街で一番大きなドゥオモ(大聖堂)に行きました。このドゥオモは140年以上かけて建設されたそうで、巨大なものとなっています。2ROT外装は白大理石をベースに緑やピンクの大理石に装飾されていて、とても綺麗でした。

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それから、ヴェネツィアに移動しました。ヴェネツィアは「水の都」とも呼ばれていて、運河が多く流れています。交通手段は徒歩か、運河を行き来する船しかありません。ゴンドラという名前の伝統的な手漕ぎボートが観光タクシーとして使われていて、僕らも乗りました。ゴンドラから見るヴェネツィアの街並みは、徒歩とはまた違って新鮮でした。

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最も大きい運河を通るときには、ヴェネツィアで一番大きい橋であるリアルト橋を正面から見ることができました。徒歩のときよりも低い位置からボートに揺られながら眺める景色は、まさに「水の都」といった感じでした。また、日没後にホテルのテラスから見た街は、だんだん暗くなっていく中にぽつりぽつりと明かりが浮かび上がっていく様子がとても綺麗で格別でした。

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それからミラノへ向かうのですが、途中でヴェローナという街を観光しました。ここは世界遺産に登録されていて、中世の街並みがよく残っています。あの有名なシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台にもなっている地です。実際にあの有名なシーンのバルコニーを見ることができました。また、街の中心部には古代ローマ時代に立てられたコロッセオがあり、ローマのものほどではありませんがとても大きく、街のシンボルになっていました。

イタリアでは最後に、ミラノを訪れました。イタリアではローマに次いで人口が多い街ですが、ビルなどが立ち並んでいて、ローマよりも都会の雰囲気が強いところでした。

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ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会では、レオナルドダヴィンチの「最後の晩餐」を鑑賞しました。完全予約制で写真撮影は禁止、そして15分間しか見ることができないという規則だったので、僕はその15分間、写真ではよく見えなかった細かいところまでじっくりと鑑賞しました。

ビットリオエマヌエレ2世アーケード、という東京ディズニーランドにあるワールドバザールのモデルにもなっている場所では、4時間ほど自由時間がありました。たくさん店が並んでいるので、お土産を買ったりジェラートを食べたりして過ごしました。日本食の店もあり、僕はおにぎりと味噌汁を注文してみました。日本食は一週間くらいぶりでしたが、いつもよりとてもおいしく感じて、少し感動しました。

最後にイタリアを離れ、フランスのパリに移動しました。パリの街並みはミラノと同じかそれ以上の都会で、雰囲気は日本と少し似ていました。地下鉄やバスもあり、交通の便はよかったです。

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パリのオランジェリー美術館ではモネの「睡蓮」を鑑賞しました。「睡蓮」は特徴的な作品で、まず非常に横に長く、部屋を複数使って展示してあるほどでした。そして、絵を見る場所によっても印象が変わります。近くで見るとぐちゃぐちゃとして何が描かれているのかわかりませんでしたが、少し離れて見ると絵がはっきりと見える、という不思議な作品でした。これは光の当たり方による色の変化を計算して描かれたからだそうで、驚きました。
印象派を中心に数多くの作品を展示しているオルセー美術館では、ゴッホの「自画像」が心に残りました。「自画像」はゴッホが亡くなる少し前に描かれた作品で、見ていると複雑な気分になりました。ゴッホの表情と、背景の青い渦巻きとが、この作品を描いたときの感情を表現しているのかな、と思いました。

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そして美術館巡りの締めくくりとして、言わずと知れた世界最大級の美術館、ルーヴル美術館に足を運びました。ここで記憶に残っているのは、かの有名な「モナ・リザ」です。なぜ記憶に残っているのかというと、巨大なサイズの絵画が多い中で、「モナ・リザ」は思ったよりも小さな絵だったからです。大きな作品とは違って、小さな空間の中に込められた様々なものを、間近で感じ取ることができました。
パリの街では、凱旋門に登りました。登った直後は雨が降っていて残念に思っていたのですが、だんだん晴れてきて、やがて虹が見れたのでよかったです。晴れたシャンゼリゼ大通りに虹が架かっている景色はとても素晴らしくて感動しました。パリで過ごす最後の夜は、セーヌ川クルーズでパリの街を巡りました。終わりがけにはエッフェル塔のライトアップを見ることでもでき、最後にいい思い出を作れました。

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今回の旅を通して僕が学んだことは、主に二つあります。一つ目は、先入観を持ってはいけないということです。外国に行って、日本の常識が通用しないことが多々ありました。外国の人はこんな感じだろう、と思ったのが違ったこともありました。そういった生活面だけでなく、芸術品などに関しても、写真と実物では受ける印象が違うなあと何度も感じました。人は無意識のうちに持ってしまっている先入観がたくさんあって、今回の研修では、そういった固定観念が砕かれることで、新しい発見をすることができました。これは日本での日常生活にもいえることで、自分の持っている先入観に気づき、それを捨てることが、様々な視点から物事を考え、発想や工夫の幅を広げることにつながるのだと思います。
二つ目は、臨機応変に対応することが大切だということです。海外には日本とは違った世界が広がっていて、驚きに満ちあふれています。想定外の物事に出会ったときに、いかに最善の道を見つけるか。頭を柔軟にして、その場その場に合わせた対応をする、あるいは事前に備えておくということが、海外で生活する中で必要なスキルだと思いました。
今回の経験を今後に生かしていくために、僕が今からできることは、勉強することです。特に、英語を熱心に勉強しようと思っています。僕はあまり英語が得意ではありませんが、英語は外国の人とのコミュニケーションの基礎となるものです。英語ができるようになったら、他の国の言語も学びたいと考えています。言語を他の言語に翻訳する過程では、必ず誤差のような、微妙な意味の違いが出てしまいます。その国の言語を使うのが、その国について学ぶのに一番いいと僕は思うのです。だから将来はたくさんの言語を学んで、世界で活躍できる人間になりたいです。
最後に、この海外研修旅行を企画してくださった熊澤さんをはじめとする財団の方々、旅行会社の方々、事前学習会に協力してくださった先生方、そして旅行中ずっと僕らを近くでサポートしてくださった添乗員の有馬さんと杉本先生と日比野先生、本当に感謝しています。ありがとうございました。