一般財団法人 瑞陵高校助成基金は、瑞陵生の学びを深めるための支援を行っています。

ITF2014報告集11

設立一周年記念海外学習事業の報告集  2年W.Aさんのレポート

 参加者から提出された報告レポートをWeb用に編集しました。皆さんのレポートは下記の略名をクリックして頂くとご覧いただけます。
 1年I.Tさん  1年M.Yさん  1年T.Mさん  2年A.Mさん  2年K.Iさん  2年K.Mさん  トップページへ戻る
 2年O.Tさん  2年S.Kさん  2年S.Tさん  2年T.Mさん  2年W.Aさん  2年Y.Rさん
 3年K.Aさん  3年K.Nさん  3年Y.Aさん  2年Y.Jさん  日程別レポート

研修事後個人レポート 「小さく大きな足掛かり」

 私が今回の研修に応募した理由は、以前から強い興味を抱いていた海外の、特にヨーロッパの文化を学び、自分の将来の視野を広げるためでした。
 高校2年の夏ということで、周りの友人がどんどんと進路の方向性を決めていく中、私には明確な「やりたいもの」がない状態で、焦りを感じ、少しでもこの研修を経て自分の興味のある分野への考えが持てたら。そう思っていました。
 そんな少しの不安のようなものを抱きながらの参加でしたが、出発後はやはり気分も上がり、12日間を全力で楽しみ、そして全力で学び、自分へと吸収することができたと思っています。
 「文化」と一括りにはしましたが、その中にも多くのものがあります。それについて一つ一つ、余白の許す限り感じたことをまとめようと思います。

まず、芸術面において。

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 今回の研修の行程には多くの美術館や博物館の見学が組み込まれていましたし、数多く訪れた宮殿や教会などにもたくさんの美術品がありました。
 その中でも私の興味を特に引いたのが、彫刻です。ルーブル美術館で見ることのできる「ミロのヴィーナス」(左側)、アカデミア美術館で見ることのできる「ダヴィデ像」(右側)などの誰もが一度は聞いたことのあるような作品はもちろん、初めて見る作品も目を奪われるものばかりでした。
 顔の造り一つ一つに細かい違いがあり、写真のような繊細さも素敵でしたが、一番は衣服や小物などの丁寧さです。皺や身体のラインに合わせたふくらみなど、どれも古い歴史を持っているとは思えないほどの細かさでした。
 現代の日本も食品サンプルをはじめとした細やかな立体造形品の数々で注目を浴びていますが、ヨーロッパではこんなにも昔から技術を持っていたと知って今まで以上に興味が湧いてきました。日本の彫刻、というと仏教彫刻がメインでしょうか。少し時間があればまた調べてみたいと思います。

次に食生活について。

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 イタリアとフランスは美食国として有名ということで期待していたのですが、本当にどれも美味しいものばかりでした。
 イタリア料理は、全体的に味付けがしっかりしていて盛りも良く、ガッツリ食べた!という感想を16人全員が抱いていたように感じます。また、野菜の少なさにも驚きました。コースでサラダが付いていないこともしばしば、逆にジェラートは毎食出ていたのでは、というくらいの頻度で出てきました。地元で人気だというピスタチオ味を試してみたところ、とても美味しかったのでおすすめです!
 レストランでの食事は、周りのお客さんがイタリア人の人生観を表した「Mangiare(食べて)、Cantare(歌って)、Amore(愛する)!を体現するかのような陽気な方々ばかりでとても楽しかったです。
 特に2日目に訪れたレストランでは、歌手の方々の歌うオペラや民謡を聞きながらの夕食で、本当に楽しむことができました。
 フランス料理の方はというと、美食大国の名の通り、美味しいだけでなく盛り付けにも工夫が施されていて、眼でも舌でも楽しめる、の言葉通りだと思えました。
 また、朝食は6日目のパリへの移動の日以外はすべてホテルでのバイキング形式だったのですが、同じスクランブルエッグでも日本のように塩胡椒で味をととのえるわけでなく、バターのみで焼かれてあるため薄味であったり、逆にハムやベーコンは日本に比べて味が濃く、卵やパンと一緒に食べてやっと丁度よくなる、といった感じであったり…同じものでも全く違うことが多くて面白かったです。
 難関だったのがエスカルゴです。かたつむり、という先入観があったので全員少し緊張を抱きもしてはいましたが、実際食べてみるととても美味しく、残ったソースにパンを付けて食べていたらどこのテーブルもパンがなくなってしまうほどに人気でした。それでは何が難関だったのかというと、貝殻の奥の方に可食部分があるために、なかなか取り出せなかったということです。
 専用の道具でも取り出せないものがあり、最後は爪楊枝で取り出す、という場所に似合わない行動になってしまいました。
 
 イタリア  イカ墨パスタ    ミラノ風カツレツ

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 見ためのイメージとは違い、味はトマトソース味。食べた後は歯が真っ黒になりました。        
 
 フランス  エスカルゴ    牛肉のブッフブルギニョン

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 牛肉のブッフブルギニョンは赤ワイン煮込み。横の葉っぱの形に盛られたマッシュポテトが美味しかったです。
 
 各都市については、イタリアは長い歴史を感じさせる石造りの町並みで、特にローマの高台から見る風景はとても綺麗でした。私は「ナポリを見てから死ね」というナポリの風景の美しさを表す諺を聞いてからこれを楽しみにしていたので、3日目にポンペイから帰るバスの窓から見ることが出来たときはとても感動しました。
 残念ながら走行中でうまく写真を撮ることはできなかったのですが、その分しっかりと目に焼き付けられたので満足でした。
 しかし、ローマの町並みは少しとっつきにくさのようなものがあり、その後に訪れたフィレンツェの方が過ごしやすいような、そんな気がしました。

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 また、ヴェネチアは水の都とも呼ばれるような特殊な街、ということで、他の三都市には無い不思議な魅力がありました。伝統工芸であるヴェネチアン・グラスもとても綺麗でした。自分用のお土産として一つネックレスが買えたので、大事にしようと思います。
最後に訪れたミラノは、ミラノコレクションが開催されるだけあってイタリアの4都市の中では一番近代的な印象を受けました。また、ブランド品店が並ぶビットリオエマヌエレ二世アーケードの横にそびえるドゥオモの展望台に昇ることができたのですが、そこから見下ろせる広場や家々の景色は絶景でした。
 フランス・パリは最先端の街のイメージに違わない雰囲気で、それまでのイタリアの町並みに慣れていたせいか、少し驚きました。しかし、少し日本の街中の雰囲気と似ている部分も感じられ、安心もできたような気がします。残念だったのは、3日間ともが天候に恵まれず雨続きだったことです。せっかくの観光名所を傘を差しながらで、風景もどんよりとして見えてしまいました。ですがその分、また今度こそは綺麗に晴れた日に来たい、と思えました。
 また、イタリア、フランスの両国ともに言えることなのですが、日本と比べて本当に治安が悪かったことが驚きでした。
 スリや置き引き、押し売りなど、話に聞いてはいたものの本当にいるのか、と半信半疑でしたが、実際に街を歩いていて何度もジプシーの少女たちとすれ違い、花束を売りつけられ…美術館の絵画にまでジプシーが描かれていたのを見たときには驚きました。その度に現地ガイドの方に教えていただけたので助かりましたが、本当に日本は恵まれた国なのだなあと再確認することができました。

 今回の研修を経て、はじめ抱いていた悩みは払拭され、私の中の選択肢が広がったような、そんな気がします。
 確かにヨーロッパの文化は長い歴史を持っていて、実際に触れてみるととても素敵なものばかりでした。でも、その華やかな表の裏には治安、経済などの解決していかなければいけない問題も数多くありました。
 私達が今暮らしている日本にも、そんな裏表があるのだと思います。私達が住みやすいと思い、時に住みにくいと思うこの国が、別の文化を持つ国を学べた私に小さな部分でも変えることができたらいい、そう思えるようになりました。
…と、少し壮大で漠然とした話となってしまいましたが、まずそのために私が今できることは、学ぶことだと思います。学ぶことで自分の選び取れる選択肢は広がります。
今回初めて外国に行ってみて、言語の壁に突き当たりました。ですが、中学英語の応用のようなレベルでも通じたときはとても嬉しかったです。
 学んで語学力を身につければ更に自分の可能性は広がります。そう思うと、少しこれからの進路を前向きに考えられるようになりました。
 小さな一歩ですが、少しでも自分が前に進めたと思えたこの海外研修。今回、部活などの都合で応募を断念した方や参加できなかった方にはまた春に行われる第3回海外派遣にぜひ応募してほしい、そう強く思います。
 最後になってはしまいましたが、私達に高校生のうちにこのような素晴らしい機会を作ってくださった出資者の熊澤さん、財団の関係者の方々、企画や準備だけでなく研修中も私達の為にご尽力くださった有馬さんと加藤さんをはじめとした近畿日本ツーリストの方々、現地ガイドの方々、私達を支え、時に厳しく指導してくださった杉本先生と日比野先生、そして、この研修参加を誰よりも喜び、協力してくれた家族に、心から感謝を伝えたいです。本当にありがとうございました!

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