一般財団法人 瑞陵高校助成基金は、瑞陵生の学びを深めるための支援を行っています。

ITF2014報告集08

設立一周年記念海外学習事業の報告集  2年S.Kさんのレポート

 参加者から提出された報告レポートをWeb用に編集しました。皆さんのレポートは下記の略名をクリックして頂くとご覧いただけます。
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 2年O.Tさん  2年S.Kさん  2年S.Tさん  2年T.Mさん  2年W.Aさん  2年Y.Rさん
 3年K.Aさん  3年K.Nさん  3年Y.Aさん  2年Y.Jさん  日程別レポート

12日間の非日常生活を通して

 僕が参加したいと思った動機の中で一番強かったのが「若いうちに世界を自分の体で感じたいことでした。普段の生活で、新聞やテレビ・ラジオ・学校の授業など、さまざまなところから情報を得ています。座学だけでなく、実験で体感して学んだり、現地の人の話を聞いたりもします。そこで感じたのは、足を運び自分たちの目で見る事によってそのものに対する何かしらの感動が起こる、ということです。

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 僕は普通科コスモサイエンスコースに所属し、実習や校外学習に出かけたりして、外の世界を見る機会があります。自分の進路を考える材料やその分野を深く掘り下げたりするきっかけになるので、学ぶ意欲が湧いてきます。他人に任せっきりで、目の前にあるものを黙々と消化するだけでは何も面白くありません。自ら行動して、積極的にかつ貪欲に学ぶほうがより吸収できるし、楽しいと思います。今回の海外研修は、外の世界を見る絶好のチャンスだと思い、応募しました。自分が行けることになった時は本当に嬉しかったです。なぜなら「海外研修に行ける」というのは、瑞陵高校に入る動機の一つであったからです。このチャンスを確実に生かして、今後の生活に大きく影響させていこうと決心し、異国の地へと足を踏み入れました。

実物の持つパワーを体感できた

教科書や資料集、新聞や雑誌、テレビ、パソコンで調べることはできても、近づいたり触ってみたり嗅いでみたりはどうしようともできません。実際に見たから分かるものや感じるものがあると思いました。案の定、得るものは大きかったです。

 これはイタリアで訪れた第二の都市フィレンツェを一望できる「ミケランジェロ広場からみた町の写真です。イタリアの街並みを見ていて思ったのは、日本と大きく違って教会などの歴史的建造物がなんの違和感もなく溶け込んでいるところです。

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 ローマに滞在中の4日目、朝早く起きて町を散策していると教会があり、中に入ると讃美歌を聞きながらお祈りしている人を見かけ、中を見て回るあいだずっと椅子に腰かけ十字架を見ていました。神キリストへの信仰心が感じられる瞬間でした。教会や古い建物が街中は数多くありましたが、気にせずに歩いていれば気づかないくらい平然と建てられていて、町全体に歴史が詰まっているのがしっかり伝わってきました。修学旅行で見てきた萩とはまた少し違いますが、電信柱のない街並みに歴史を感じた感覚と似ていました。

 学校で習った有名な作品を間近で見られたのはとてもよい経験になりました。バチカン市国・システィーナ礼拝堂で見た「最後の審判」、ポンペイ遺跡に残された「イッソスの戦い」、レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」と言った誰もが知っているようなものから、観察して印象がより深まったものなど、数えきれないくらいの作品や発掘品を見てきました。滞在期間が10日と長かったおかげで、多くの美術館や歴史的建造物をめぐり、とても貴重な経験になりました。

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 美術館で見てきた美術品には2つの特徴があると感じました。一つは「細部まで再現しようとする繊細さ」もう一つは「写真や実物では表現できない内面を作品に出す」です。古代から中期にかけての作品は、対象をよく観察し、作品中に収めようとして、人の筋肉であったり雲一つであったりと表現に工夫を凝らしていました。

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 アカデミア美術館には多くの展示品があり、特に石像がよく目に入りました。ミケランジェロは石造を作る際、周りからは削らずに前方から地道に削っていくスタイルだというところに驚きです。体の筋肉やそれらがつくる影までもが計算されてできていました。かの有名な「ダビデ像」は小さいものだと思っていましたが、高さ4メートルもの巨大さに思わず目を疑いました。

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 同じ風景画でも、絵のタッチが異なるのが分かるでしょう。あえてぼんやり描き、点描画(点をたくさん打って、見たときにその色になるように工夫した画法)で描いたものもありました。ムーラン・ド・ラ・ギャレットもその一つです。この絵は、普通の肌色が使われていたと思っていましたが、実は、青色やオレンジ色、緑色の点が散りばめられて肌色に見えていたのです。間近で見たときには驚きました。
 「ヴィーナスの誕生」もしっかりと目に焼き付けてきました。思っていたよりも色は薄く、なんと作品の真ん中に白い線が入っていたのを発見しました。これが分かったのは作品に50センチまで接近できたからです。教科書では絶対にできないので、改めて研修に来れてよかったと思いました。

日本がいかに安全かを知れた

 

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 置き引きやすりなど、持ち物を取られることが多いから気を付けるよう、添乗員の方々や現地のガイドさんに何度も言われたのをよく覚えています。日本と比べてヨーロッパは治安が悪い場所があったりしました。だいたいどの観光名所に行っても、水を販売したり、ユニークな商品を街頭販売したりして生活している人たちがいました。中には、土下座のような姿勢でお金をくれないかとお願いする人、腕にミサンガを結んできて料金を要求してくる怖い人たちもいました。幸いガイドさんや添乗員さん、先生方に守られていたおかげで被害者はいませんでした。困っている人たちがいるとむやみに近づく、もしくは声をかけるのは少々危険が伴います。人ごみの中や、写真撮影の間は要注意です。海外はただ上品で美しいだけでなく、常に警戒心を持つ必要のあるところだと印象付けられました。

環境の違い(気候・食文化など)

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 イタリア料理が食べられると聞いて、僕は一喜一憂しました。海に面している、つまり魚介類が多く出るのでは…と心配でした。しかし、食べてみるとこれがすごくおいしく頂けました。味が濃厚で抵抗なく食べました。本場のパスタやピザが食べられたのも良かったです。日本ではパスタと聞くと「麺」のような細長いものをイメージすると思いますが、向こうでは、味によって麺の種類を変えていました。リボンのような形、きしめんのような平たい形、空洞がある形など、種類は様々でした。サラダにはレタスと人参、そしてバルサミコ酢がよくかかっていました。酸味が強く、口に運んだ瞬間に酸っぱさが伝わるほど酸っぱかったです。あの刺激は日本に帰ってきた今でも忘れられません。

 現地の人たちは、想像以上にフレンドリーでおしゃべりが大好きです。イタリアからフランスへの移動中に外国人の方の隣に座ることになり、窓の外を眺めていると向こうからで話しかけてきました。自分のわかる単語を耳で拾い、なんとか返答してみると、笑顔で反応してくれました。短い時間でしたが、現地の方と、しかも英語で会話ができるなんて思ってもみませんでした。その人はイタリアに住んでいて、出張でフランスに行く途中だったこと、2年ほど東京に滞在して仕事をしていたことなどについて語ってくれました。僕を気遣ってくれたのか、フランスの天気まで教えてくれました。なんと親切な人だったのでしょうか。だんだんと緊張もほぐれ、別れ際に「よい旅を」と見送られました。彼にとってぼくの英語なんてカタコトだったに違いないのに、優しく対応してくれたところに感動しました。もう一度海外に行けるなら、今度は日常会話が難なくできるレベルの英語力を身に着けて行きたいです。

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 現地では日本との環境の違いに何度驚かされたことでしょう。食事中に飲む水が有料だったことを知って、日本は世界で数少ない水の豊富な国で、蛇口をひねれば安全な水道水が飲めるありがたさを感じました。ほかにも、チップを払う習慣があること、これはホテルの部屋を掃除してくれる人・食事を運んで来てくれる人への感謝の表れです。こんな経験も日本ではあまりできないでしょう。

 海外の8月はちょうどバカンスシーズンで、僕たち以外の外国人観光客も大勢いました。ヨーロッパ人は肌が白い人が多いものだと勘違いしていましたが、肌を焼いている人が多く見られたのには少々戸惑いがありました。現地では肌を焼いていると、それだけバカンスに行っている、つまり、「自分が裕福である」ということをアピールしているそうです。日本ではあまり肌を焼きたがらない人が多いですが、向こうでは性別関係なしに肌を焼くことを好みます。あと、紫外線が強いためサングラスは必須です。

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 物価の違いは、実際に物を買わないとわからないことだと思います。旅行中の為替は1ユーロ≒137円くらいでした。日本にいる感覚で買い物をすると、3日目ぐらいで金銭感覚が分からなくなります。例えばお水。フィンランドの空港で500mlの水(ガスなし)を買うと2.5ユーロ⇒420円ほどします。同じ水を安いところ、例えばスーパーで買えば0.26ユーロ⇒50円以下で買えたりするのです。場所によってさまざまですが、日本よりも物価が高いことに変わりはありません。日本でおなじみのマクドナルドで比較すると、その違いはよくわかります。ビックマック・ポテトL・ドリンクLにダブルチーズバーガーを頼むと、日本では1000円弱なのにフランスでは10ユーロ⇒1300円強もします。ビッグマックの値段はその国の経済力を表す(諸説あり)ともいわれるので、国の違いを感じずにはいられませんでした。

 12日を通して、英語が使えることの重要性を実感しました。外国で日本語が通じる事はほとんどないでしょう、現地の言語が使えればいいのですが、それには非常に多くの時間がかかります。ならどうすればいいのか。学校で習っている英語を使えばいいのです。
道を尋ねるときも、商品を注文するときも、隣に座った外国人と会話するときも、英語を使えばたいていの人には通じるのを実感しました。もちろん、現時点ではカタコトの英語しか使えません。将来、外の世界で働くために英語は重要です。僕は機械に興味があり、機械関連の仕事をしたいと考えています。海外で働く日が来るかもしれませんし、もしくは海外に住むこと可能性もあります。高校で学んでいる英語は、これから使うものの土台となる部分になるので、これから英語にもっと積極的になって学習していきたいと思います。

最後に

 高校2年生で、飛行機に13時間も乗り、外国人と英語で会話をし、本場のパスタを食べ、本物の名作の数々を目の前で見て、名所を歩き回って…。自分の五感は常に刺激を受け、学ぶこともたくさんありました。こんなに濃密な12日間を過ごすことができたのはこの研修旅行のために尽力してくださった熊澤先生はじめ財団の方々、近畿日本ツーリストの加藤さん、添乗員の有馬さん、研修に付き添ってくださった日比野先生、杉本先生、そのほか多くの方々のおかげです。大変貴重な経験ができたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。また、現地のガイドさん方にもお礼の言葉を伝えたいです。ありがとうございました。
 僕は旅の途中で少し体調が悪くなってしまい、自分だけ途中で帰るのかな、などの考えが頭をよぎりましたが、添乗員さんや先生方の的確かつ親切に対応してくださったおかげで、次の日からは何事もなく参加することができました。迷惑をかけてしまったことをここで謝りたいと思います。ご迷惑をおかけして、すみませんでした。そして、温かく見守ってくださって本当にありがとうございました。

 ~今回の研修で惜しくも行くことができなかったみなさんへ~

 このような企画は、財団に賛同してくださる多くの方々のご厚意によって実現しています。海外に行けるチャンスはそうめったにありません。行けば自分の価値観が変わるはずです。もし、少しでも興味のある人は、次回のアメリカ研修に是非応募してみてはいかがでしょうか?